研究テーマ
朝鮮中世・近世史
韓国朝鮮の中世史および近世史を専攻。なかでも、朝鮮王朝(李朝、1392-1910)時代の水運史や財政史・経済史などを中心に研究している。目下最大の課題は当該期における水運の制度および実態の解明であり、具体的には、官営の税穀船運機構である漕運制について、朝鮮王朝前期におけるその整備・変遷過程や運営実態等を明らかにする作業に取り組んでいる。水運史への関心は、韓国朝鮮の前近代史を「海」とのかかわりで再構成する必要性を痛感させることにもなり、最近ではそうした問題意識から、比較的史料の豊富な朝鮮王朝後期を対象として、済州島民の海難関係記録の分析を通じて彼らの海上活動の実態や異国への漂流・漂着をめぐる諸問題についても考察を進めている。ほかに、朝鮮王朝後期に実施された新税制である大同法について、その運用実態を地方財政との関連に注目しながら研究しており、また、高麗から朝鮮への王朝交代期における社会的・経済的諸変動の歴史的意義をいかに理解するかという問題にも関心を抱く。
経歴
九州大学文学部史学科朝鮮史学専攻卒業
九州大学大学院文学研究科(史学専攻)修士課程修了
九州大学大学院文学研究科(史学専攻)博士後期課程中途退学
九州大学文学部助手、久留米大学文学部専任講師、久留米大学文学部助教授、九州大学文学部助教授、九州大学大学院人文科学研究院助教授、東京大学大学院人文社会系研究科助教授を経て現職
主要業績
編著
東洋文庫東北アジア研究班(朝鮮)=武田幸男・井上和枝・糟谷憲一・須川英徳・森平雅彦・山内弘一・山内民博・吉田光男・六反田豊、「日本所在朝鮮近世記録類解題」、財団法人東洋文庫、2009年3月
論文
「19世紀慶尚道沿岸における「朝倭未弁船」接近と水軍営鎮等の対応―『東萊府啓録』にみる哲宗即位年(1849)の事例分析―」、大阪市立大学東洋史論叢、別冊特集号、157-187頁、2009年1月
「『西岳志』異本考―その概要と類型化―」、朝鮮学報、第210輯、1-40頁、2009年4月、など