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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

NEWS

U-PARL協働型アジア研究の研究成果論文集として川西裕也・中尾道子・木村拓編『壬辰戦争と東アジア』が刊行されました

中尾道子特任研究員が代表を務める2020〜2021年度U-PARL協働型アジア研究プロジェクト7「壬辰戦争からみる16・17世紀東アジア」の研究成果論文集として、川西裕也・中尾道子・木村拓編『壬辰戦争と東アジア:秀吉の対外侵攻の衝撃』が東京大学出版会より2023年3月28日に刊行されました。

【内容紹介】
16世紀末に豊臣秀吉が大陸に侵攻し引き起こした戦争を、国際的な観点から捉えなおすべく「壬辰戦争」と呼ぶことが提唱されつつある。東アジア全体に大きな影響を及ぼしたこの戦争について、日・中・朝・満の史料を活用し、各国間・集団間に発生した接触と交流・交渉、そしてその記録と記憶の実態を明らかにする。

刊行の辞(蓑輪顕量)

序章(川西裕也)

第一部 朝鮮王子と史料
第一章 朝鮮王子一行とその墨跡(川西裕也)
第一章 史料篇 日本所在の朝鮮王子一行の墨跡(川西裕也)
第二章 加藤清正と重臣・加藤可重――朝鮮王子一行との接点から(鳥津亮二)
第三章 鍋島家伝来の朝鮮王子書状とその歴史的位置付け(久野哲矢)

第二部 接触と交渉
第四章 豊臣秀吉の侵攻予告に対する朝鮮の対応――通信使派遣の明への秘匿(木村 拓)
第五章 沈惟敬の「東行」と豊臣秀吉の降表――「沈惟敬書帖」を糸口に(鄭 潔西/中井勇人訳)
第六章 「泰長院文書」収録の書状から見た朝鮮軍と日本軍の裏面交渉(金 𡇇泰/酒井雅代訳)
第七章 壬辰戦争期に加藤清正に遭遇したワルカ系領主家系(林慶俊・中井勇人)

第三部 記録と記憶
第八章 『吏文謄録』と壬辰戦争期の朝明関係(鈴木 開)
第九章 『豊国大明神臨時御祭礼記録』と壬辰戦争(金子 拓)
第一〇章 『北関遺蹟図帖』の表現とその系譜――戦争の記憶と絵画(中尾道子)
第一一章 仙台藩における「朝鮮の役由来」の家臣(太田秀春)

――壬辰戦争は日本と朝鮮の問題だけではなく、明が滅ぶ遠因になり、また琉球をも巻き込んで展開し、その終結後には東アジアの国際情勢を大きく変貌させた。外交を中心とする政治の問題も、本書の中で扱われる所以である。
 本書の内容的な特徴は三つあるという。第一は史料研究、第二は壬辰戦争に関わる対外接触や交渉に関わる研究、そして第三は壬辰戦争の記録及び記憶に関する研究である。どの部分をとっても今まであまり顧みられていなかった部分であると思われ、豊臣秀吉の引き起こした対外侵攻に対する最新かつ詳細な研究としてその価値は高い。――

本書 刊行の辞(蓑輪顕量)より抜粋

March 24, 2023