須永恵美子特任研究員が執筆に加わった『記憶と記録にみる女性たちと百年』が明石書店より発行されました。
須永特任研究員は「現代のプリズム4 パキスタン 罪深き女たちの詩」を執筆しました。
「罪深き女たちの詩」というタイトルは、パキスタンの詩人キシュワル・ナヒード(1940~)の自由詩「わたしたち、罪深き女」からきているそうです。
インスタグラムに投稿された白いサリーの写真から始まり、サリーが禁止されていた時代に黒いサリーを着てステージに立つ歌手、国際女性デーに参加する女性の洋装やヒジャーブなど、様々な服を着た女性の記録が紹介されています。
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世界が急速に変化を遂げる激動の20世紀、女性と社会のあるべき姿を模索して、人生を懸けた女たちがいた。公正な社会を求め格闘する彼女たちの百年の歩みと、装いに映し出される社会のありようから、中東・イスラーム地域と現代世界の歴史と現在を炙り出す。(出版社サイトより)
はじめに[岡真理]
第Ⅰ部 女性たちと百年
第1章 家族計画とチュニジア初の女医[鷹木恵子]
歴史のプリズム1 日本で最初の女性医師[鷹木恵子]
歴史のプリズム2 近代トルコ女性の「リベルテ」を求めて[松尾有里子]
歴史のプリズム3 個としての信念を貫いた女性[服部美奈]
第2章 ジェンダー平等を求めて――1920年代のレバノンにおける宗教改革運動[後藤絵美]
歴史のプリズム4 革命後は忘れられた?フェミニスト[山﨑和美]
第3章 人々の痛みの根源を探る――イラン・ソーシャルワーカーの母[藤元優子]
第4章 自由と真の男女平等のために闘い続けた女性詩人[鈴木珠里]
第5章 『若者の証言』をめぐる百年――「すべてをもつ」ことを夢みる女たち[松永典子]
歴史のプリズム5 異教徒への伝道を夢みて[山口みどり]
歴史のプリズム6 植民地主義・性差別と闘ったエジプトの女性教師[千代崎未央]
第6章 農民運動女性指導者の愛と闘争の人生[長沢栄治]
第7章 大学モスクの女性活動家の先駆者[野中葉]
第Ⅱ部 変身する女性と社会――装いに映るジェンダー
装いとアイデンティティ
第8章 イラク◇路上で抗議するムスリム女性たち[酒井啓子]
現代のプリズム1 西サハラ◇メルフファと解放闘争[新郷啓子]
現代のプリズム2 日本◇ネヴロス クルド人の装いと思い[中島由佳利]
第9章 ウズベキスタン◇ヴェールを捨てたその後に[帯谷知可]
現代のプリズム3 アメリカ◇信仰とお洒落だけではない――ムスリムファッション最前線[高橋圭]
装いと国家
第10章 中国◇回族女性のヴェールの意味[松本ますみ]
現代のプリズム4 パキスタン◇罪深き女たちの詩[須永恵美子]
第11章 イラン◇帽子とヘジャーブ――服装の国家規制が導いたもの[藤元優子]
装いと信仰
第12章 エジプト◇女優たちの神学――ヒジャーブ、フェミニズム、イスラーム[後藤絵美]
現代のプリズム5 ベルギー◇モランベーク地区に生きるムスリムの女性たち――子育てと装いをめぐるフィールドノーツから[見原礼子]
第13章 インドネシア◇変身する女性と社会――近年のチャダル着用現象を事例に[野中葉]
世界化する「装い」
現代のプリズム6 世界◇ベリーダンスの衣装と百年[木原悠]
現代のプリズム7 日本◇共鳴するモデストファッション[岡井宏文]
編者あとがき
参考文献・参考資料
『記憶と記録にみる女性たちと百年』(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ)
長沢 栄治 (監修)、岡 真理 (編集)、後藤 絵美 (編集)
明石書店 2023年3月
ISBN:9784750355641
April 7, 2023