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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

EVENT

【終了しました】「つながる・史料と研究」東洋学・中国学若手研究者のための合宿ワークショップ

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U-PARLでは、東京大学東洋文化研究所、同附属東洋学研究情報センター、京都大学人文科学研究所、同附属東アジア人文情報学研究センターとの共催により、東洋学・中国学若手研究者を対象とする合宿ワークショップを下記の要領で開催いたします。

多くの東洋学・中国学研究者にとって、一次史料をいかに処理するか、また二次史料の編纂に際して加えられた処理をいかに見きわめるかということは大きな課題です。研究者は自分の専門分野についてのノウハウは身につけていても、他分野については史料と研究成果という両端点のあいだで何が行われているのか、知る機会が少ないのではないでしょうか。若い人材の不足が危惧される昨今、史料と研究をつなぐノウハウを研究者全体で共有する試みが必要と考え、本ワークショップでは、史料の講読を含む主題セミナー、参加者による研究発表等を合宿形式で集中的に行い、幅広い時代・分野の東洋学・中国学若手研究者に研鑽・交流の場を提供します。

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チラシPDFがダウンロードできます→

■日程 2016年3月19日(土)午後~3月21日(祝)午前

■場所 東京大学運動会山中寮内藤セミナーハウス 山梨県南都留郡山中湖村平野506-296
新宿高速バスターミナルより富士五湖方面山中湖行に乗車(約140分)→「山中湖村役場前」下車→徒歩約400m

■プログラム
第1日・午後の部 セミナー①「秦漢時代の簡牘文書」 講師:土口 史記(京都大学人文科学研究所助教)

summary: 秦漢時代の行政文書は専ら木簡の形態をとるが、それらは人々に読みつがれることを意図して編纂された文献と大きく異なり、極めて個別具体的な行政記録、しかもその断片でしかない。この断片性が、簡牘文書を扱う際に直面する最初の問題である。とはいえ、現代社会と同様行政文書には定型がつきものであって、定型の理解が断簡零墨を読み解く第一歩となる。もちろん、その先にも多くの問題が待ち受けているわけではあるが、まずは最初の一歩を踏み固めることを目標に、簡牘文書読解のルールとツールについて解説したい。

第2日・午前の部 セミナー②「南北朝・唐の石刻史料と異体字」 講師:成田 健太郎(U-PARL特任研究員)

summary: 分野を問わず重要な一次史料となりうる碑・墓誌等の石刻史料について、現物の拓本資料釈読と、データベースによる用例採集をあわせて実践する。南北朝・唐の石刻史料には、石材の剝泐による釈読困難だけでなく、異体字使用という扱いにくさがある。諸碑誌に現れる異体字を具体的に考察し、史料の処理に際して注意すべき点を確認したい。また唐中葉以降の正字意識の高まりを背景に、異体字の使用が減少してゆく趨勢を観察するとともに、碑誌の史料としての性質の通時的変化についても考えてみたい。

第2日・午後の部 参加者による研究発表(要事前申込み) 若干名

第2日・夜の部 セミナー③「明清時代の漢籍と書誌情報の採取」 講師:永田 知之(京都大学人文科学研究所准教授)

summary: 漢籍は中国学研究の基礎資料だが、稀覯本を除けば、実はその書誌を採取する手法は体系化されているとは言い難い。ここでは主に明・清の刊本を京都大学人文科学研究所の前身が編んだ目録と対照しつつ、情報が抽出される流れを追体験したい。その過程で書中の序跋・刊記・印記に加えて、他の書籍や目録なども利用された点が理解されよう。研究の前段階として軽視されがちなかかる作業を見直すことで、文献学全体で有用な知見の獲得を目指したい。

第3日・午前の部 セミナー④「清朝の檔案史料にみる虚実」  講師:吉澤 誠一郎(東京大学人文社会系研究科准教授)

summary: 清代の檔案は、編纂された史料とは異なる研究上の価値がある。しかし、もし政治史研究に利用できるような文書史料に話を限定するなら、その文書の作成の時点からすでに政治的な文脈と不可分の関係にあるとみるのが自然であろう。なかでも起居注冊や上奏文は、もっとも基本的な史料でありながら、読み取りには留意を要する。本セミナーでは、同じ事柄について外国の史料が残されている事例を取り上げ、檔案史料が語る虚実を把握してみたい。その「虚」の部分にこそ、歴史を考える醍醐味が隠されているのかもしれない。

■参加費 12,000円を予定しています。宿泊料・食事代に充当します。
第2日午後の部の研究発表を担当していただける参加者には、参加費および居住地と会場間の往復交通費を全額支給します。研究発表は事前申込み制です。既発表の内容でもかまいません。ふるってエントリーください(エントリー多数の場合お断りする可能性があります)。

■参加資格 大学院生以上(次年度進学予定者を含む)の若手研究者で、漢語文言文読解の基礎的訓練を受けていること(年齢制限はありません)

■募集定員 30名

■参加申込締切 2016年1月31日(日)

■申込方法 ↓こちら↓のフォームに必要事項を記入のうえ送信してください。受信しだい確認メールをお送りします(年末年始休業期間中の受信分については1月4日以降の対応となります)。