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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

EVENT

【報告】アジア研究文献探索セミナー「研究資料整理術」編

2018年7月5日に関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)ならびにTokyo Digital Historyの協力を得て、文献資料(史料)の整理術を紹介するセミナーを開催しました(告知ページはこちらを参照)。

  • 日時: 2018年7月5日(木)17:30〜19:15
  • 場所: 東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター 3F 特別会議室
  • プログラム:
    (1)「 Zotero (文献管理ソフト) の使い方」山王綾乃 (お茶の水女子大学大学院 博士課程、Tokyo Digital Historyメンバー )
    (2)「 Tropy (画像&アノテーション管理ソフト) の使い方」菊池信彦 (関西大学 KU-ORCAS 特命准教授)
    (3) 「WEB上から欲しい情報を機械的に入手する方法」小風尚樹(東京大学大学院 博士課程, Tokyo Digital Historyメンバー)


今回のセミナーは、研究をしているなかで日々行っている、(1)ネットを活用した情報収集、(2)研究データの整理、(3)参考文献の整理、というフローを意識したものです。以下、簡単にセミナーの内容を報告致します。

最初に、参考文献の整理術として、「Zotero (文献管理ソフト) の使い方」を山王綾乃さん(お茶の水女子大学大学院 博士課程、Tokyo Digital Historyメンバー )にお話し頂きました。

Zotero はオープンソースの文献管理ソフトです。山王さんの話は、入門編と実践編に分かれて行われました。入門編では、Zotero standalone版のダウンロード、アカウント登録、Zoteroの概要、基本的な操作法についての解説がありました。実践編では、書誌情報の取り込み、グループ参加、MS Word/LibreOfficeとの接続、Bibliographyの作成、引用スタイルの変更・追加と編集と、盛りだくさんの実践的な内容が丁寧に解説されました。

Zotero公式サイト
山王綾乃「Zotero(文献管理ソフト)の使い方」(発表スライド)

続く発表は、研究データの整理術として、「Tropy (画像&アノテーション管理ソフト) の使い方」を菊池信彦先生(関西大学 KU-ORCAS特命准教授)よりうかがいました。Tropyはオープンソースの画像管理ソフトです。菊池先生の解説は、Tropyのインストールから始まり、新規プロジェクト(画像と情報管理を行うフォルダーのようなもの)の作成、写真の取り込み、写真のまとめ、メタデータ付与、タグ付け、リスト化、画像上へのメモ書き、などに関する内容へと至りました。Tropyは歴史学の研究者が史料管理のために開発したもののようですが、画像とメタデータの一元管理が可能なものですので、史料管理に限定されるものではなく、その可能性は無限に広がっています。

Tropy公式サイト
菊池信彦「Tropyの使い方」(関西大学学術リポジトリ)
・「撮影した史料画像等を管理するためのソフトウェアTropyを使ってみて」(歴史とデジタル)

最後に、ネットを活用した情報収集として、「 WEB上から欲しい情報を機械的に入手する方法」を小風尚樹さん(東京大学大学院 博士課程、Tokyo Digital Historyメンバー)にお話頂きました。小風さんのお話は、時間の都合もあり、Webスクレイピングという手法があることを簡単に紹介したものとなりした。本格的に取り組むためには、それなりの勉強が必要ですが、Webスクレイピングが研究情報の入手に威力を発揮するという紹介は、未知の人には驚きの技術だったかと思います。

・「デジタルヒストリー入門 : 2018 Spring Tokyo Digital History Symposium開催報告」(東京大学機関リポジトリ)
・「ここからはじめる日本のデジタル・ヒストリー―Tokyo Digital Historyの立ち上げによせて」(文学通信2018年5月16日)

このように、本セミナーでは、授業1コマ分の時間の中に、(1)ネットを活用した情報収集、(2)研究データの整理、(3)参考文献の整理、という研究上のフローを紹介することを試みました。いわば、整理術の試食のような催しとなりました。ZoteroとTropyの発表につきましては、講師作成のスライドがCC BYのライセンスで提供されていますので、ぜひ、ご活用下さい。

最後になりましたが、今回のセミナーの実施には、Tokyo Digital Historyに所属する若手研究者に発表・広報・受付などで協力を頂くとともに、関西大学アジア・オープン・リサーチセンターからもご協力を頂きました。記して感謝致します。

【共催】
関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)
Tokyo Digital History