【終了しました】U-PARL・東洋文化研究所・東洋学研究情報センター共催集中セミナー開催のお知らせ

 

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 マクリーズィーの作業を肩越しに覗く

〜中世エジプトの歴史家はどう仕事をしていたのか〜

 Looking over al-Maqrīzī’s Shoulder

The Working Method of a Medieval Egyptian Historian

 

この度、フレデリック・ボダン教授(リエージュ大学)を講師にむかえ、上記のテーマで2泊3日の集中セミナーを、東京大学山中寮内藤セミナーハウス(東京大学保健体育寮)にて開催する運びとなりました。

ボダン教授は、アラビア語文献学、イスラーム社会史の分野において顕著な業績を挙げている世界的な研究者です。教授の研究の中でも、とくに近年大きな成果を挙げているのは、手稿本史料への「考古学的」アプローチから当時の知識人の知的実践を明らかにする、知識社会史に関する研究です。教授が初めて学界に紹介したリエージュ大学図書館所蔵、マクリーズィー(1364­–1442)の「雑記帳」は、中世イスラーム社会の知識人を代表するこの人物の自筆による極めて史料的価値の高い手稿本ですが、教授はこの史料の入り組んだ記述を丹念に解きほぐす作業から、著者の執筆手順を詳細に再構成することに成功しました。集中セミナーでは、ボダン教授の最新の手稿本研究から明らかになる中世エジプトの歴史家・知識人の知的実践のあり方について、ともに学びたいと思います。

扱う材料はアラビア語で書かれた中世エジプトの歴史関係の文献が中心になりますが、前近代のイスラーム圏で作成された「書かれたもの」と関わる研究を志す(あるいは現に行っている)皆さんにとって、それぞれに得るところの大きなセミナーとなることを確信しています。以下に参加要領を示しますので、多くの皆様に積極的に手を挙げていただければと思います。

なお、この集中セミナーは、東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門(U-PARL)、東京大学東洋文化研究所、東京大学東洋文化研究所東洋学情報センターの共催で、日本学術振興会外国人研究者招へい事業(短期)の助成を受けて開催するものです。

☞特設ウェブサイトの方もご覧ください!

 

■開催日程と場所

5月4日(月)–5月6日(水)(2泊3日)

東京大学山中寮内藤セミナーハウス(東京大学保健体育寮(スポーティア))

 

■使用言語

英語(一部日本語)

 

■セミナーの構成

集中セミナーは、①日本人講師による手稿本の講読ゼミの部(午前)、②ボダン教授による講義の部(午後)、③参加者たちによる研究発表の部(夜間)から構成されます。各部の詳細は下記の通りです。

・日本人講師による手稿本の講読ゼミの部(09:00–12:00)

日本人講師の指導のもと、その日の午後のセミナーで扱われる手稿本テクストの読み合わせを行います。

・ボダン教授による講義の部(13:00–17:00)

中世エジプトの歴史家マクリーズィーがどのような作業・工程を通じてものを書くという営為を行っていたのかをボダン教授がガイド役となって、皆で追体験する内容です。

・参加者たちによる研究発表の部(17:30–18:30(予定))

参加大学院生たちを中心に英語での研究発表会を行います。

*なお、初日は13:00から開始、最終日は夕方16:00頃までを予定しております。

 

■受講者募集要項

(1) 応募期間

2015年2月26日(木)〜2015年3月20日(金)

(2) 募集人数

20名

(3) 参加費

・宿泊施設までの往復交通費

・2泊3日分の宿泊費

(東京大学所属院生・教職員5,000円、東京大学の卒業生6,000円、その他7,000円)

・滞在中の食費

(計4,800円)

*ただし、日本学術振興会特別研究員DC未満の方については、宿泊費と食費は無料。

 (4) 参加資格は下記の要件を満たしていること。やる気がある人を歓迎いたします。

  • 大学院修士課程在籍中以上。それ以外で参加を強く希望する方は個別にご相談下さい。ただし、応募多数の場合は、大学院生、ポスドクの方など、研究キャリアの浅い方を優先します。
  • アラビア語初級文法既習であること。応募者多数の場合は、アラビア語の読解力も参考にして参加者を選定します。
  • 分野は特に定めない。ただし、応募多数の場合は、前近代の中東イスラーム圏に関わる歴史や思想の研究に携わっている人を優先します。

 

■申込方法

(1) 受講を希望する方は、最初に、申込フォームに必要事項をご記入ください。

(2) 受講希望者全員にアラビア語を日本語に訳す課題を提出してもらいます。

・課題文は、申し込みフォームからダウンロードしてください。

・日本語訳は、申込フォームに記入してご提出ください。

・英語発表をご希望の方は、申込フォーム記入時に、もしくは事務局宛にメールでご提出ください。

 (応募多数の場合は、英語発表を希望される方を優先する可能性があります)

*申込フォームを送信した方には、事務局より申込確認のメールを差し上げます。

*その他、個別のご相談については、事務局宛メールにてお問い合わせください。

 

■事務局連絡先(セミナーの内容などについての問合せも受け付けます)

kumakurawakako[at]gmail.com([at]を@に置き換えてください)

事務局担当者:熊倉 和歌子(東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)

 

■特設ウェブサイト

今後、お知らせ等を発信していく予定ですので、ご覧ください。

http://maqrizi.tumblr.com/

 

 ■ボダン教授の研究の概要と参考文献

ボダン教授の研究の中心は、先述した手稿本研究です。その成果は“Maqriziana”と題する連作論文で公表され、多くの研究者からそのシリーズの完結が待ち望まれています。

また、「雑記帳」を含むさまざまな手稿本の筆記媒体の分析から、マムルーク朝社会で流通していた行政文書の古紙再利用の実態を明らかにするとともに、実際に発布されたイクター文書や命令書等を検討する古文書学的研究もあります。

さらに、行政文書の検討から発展し、マムルーク朝と周辺諸国家との外交文書を分析する国際関係史にまで射程を広げています。

  1. Muḥibb al-Dīn Aḥmad ibn ʿAbd Allāh al-Ṭabarī al-Makkī. Les Trésors de la postérité ou les fastes des proches parents du Prophète (Kitāb Ḏaḫā’ir al-‘Uqbā fī Manāqib Ḏawī al-Qurbā). Ed. by Frédéric Bauden, Cairo, Institut Français d’Archéologie Orientale, 2004.
  2. “Maqriziana II. Discovery of an Autograph MS of al-Maqrīzī: Towards a Better Understanding of his Working Method: Analysis”, Mamlūk Studies Review 12/1 (2008).
  3. “The Sons of al-Nāṣir Muḥammad and the Politics of Puppets: Where It All Started?” Mamlūk Studies Review 13/1 (2009).
  4. “Vers une archéologie du savoir en Islam: la méthode de travail d’al-Maqrīzī, historien du XVe siècle”, in Comptes rendus de l’Académie des Inscriptions et Belles-Lettres (2009).
  5. “D’Alexandrie à Damas et retour: la poste privée à l’époque mamlouke à la lumière d’une commission accomplie pour le compte d’un Vénitien (821 A.H./1418 È.C.)”, in Urbain Vermeulen and Kristoff d’Hulster (eds.), Egypt and Syria in the Fatimid, Ayyubid and Mamluk Eras 6, Leuven: Peeters, 2010.
  6. “Maqriziana IX. Should al-Maqrīzī be thrown out with the bathwater? The question of his plagiarism of al-Awḥadī’s Khiṭaṭ and the documentary evidence”, Mamlūk Studies Review 14 (2010).
  7. “Maqriziana XI. Al-Maqrīzī et al-Ṣafadī: Analyse de la (re)construction d’un récit biographique”, Les méthodes de travail des historiens en Islam. Roma: Istituto per l’Oriente C.A. Nallino, 2010.
  8. “Maqriziana XII. Evaluating the Sources for the Fatimid Period: Ibn al-Maʾmūn al-Baṭāʾiḥī’s History and Its Use by al-Maqrīzī,” in Bruce D. Craig (ed.), Ismaili and Fatimid studies in honor of Paul E. Walker, Chicago: Middle East Documentation Center, 2010.
  9. Les méthodes de travail des historiens en Islam. Coordinated by Frédéric Bauden, Rome: Istituto per l’Oriente C.A. Nallino, 2010.
  10. Al-Maqrīzī’s Collection of Opuscules. An Introduction. («Bibliotheca Maqriziana. Opera Minora», 1) Leiden; Boston: Brill, 2015.