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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

COLUMN

【世界の図書館から】フランス国立図書館の電子図書館“Gallica(ガリカ)”

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フランス国立図書館の電子図書館“Gallica(ガリカ)”

澁谷由紀

U-PARL特任研究員

“Gallica(ガリカ)”は1997年に設立されたフランス国立図書館の電子図書館である。2014年12月現在、資料数は約316万点(図書約55万点、地図約7万点、写本約4万点、イラスト約100万点、定期刊行物・雑誌約140万点、楽譜約1万点、他)に達している。とりわけ著作権処理済みの図書の場合、オンラインで全頁を閲覧・ダウンロード / 印刷できるコンテンツが多く、研究者にとって非常に利便性が高い。

“Gallica(ガリカ)”に関する日本語の情報としては、栗山 正光.2003.「フランス語資料の電子図書館」『日仏図書館情報研究 』(29), 1-12がその概要を紹介しているほか、カレントアウェアネス・ポータル(図書館界、図書館情報学に関する最新の情報を提供する国立国会図書館のサイト)が最新情報を随時提供している。

“Gallica”は多言語(フランス語の他、英語、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語)で提供されている。閲覧・ダウンロード / 印刷といった基本的なサービスに関しては英語で利用が可能である。以下、普段フランス語を使用する機会のないアジア研究者や他言語サービスに従事する図書館職員の利用を念頭に、簡潔に利用方法を説明し、ユーザーとして気付いた点を挙げたい。

 

1. 検索

(1) “Gallica”のトップページにアクセスする

名称未設定 78ガリカ英語ページのトップ画面

(2) そのままフランス語で利用する場合は、画面左上“Gallica”のロゴの横の検索バーで検索する。その際注意すべきこととしては、東京大学OPAC等がオンラインの「蔵書目録」であり、著者やタイトル、件名といった限定された情報のみを検索対象にしているのに対し、“Gallica”は「百科全書的」電子図書館を目指しており資料の本文等を検索対象にしていることである。したがって漫然と検索するといわゆる「ノイズ」が多くなり、目的のコンテンツにたどり着けない。「詳細検索(Recherche avancée)」で検索内容を限定するか、より簡便な方法としては「Gallica全体(Tout Gallica)」ではなく、「書籍(Livres)」など資料形態を限定することを推奨する。

(3) 英語に切り替える場合は、トップページ右上の「言語(langues)」で切り替える。検索方法の注意点は(2)に同じである。

 

2. 閲覧

(1) 検索後は目的の資料のタイトルをクリックするか、緑色の「資料閲覧(Get the document )」をクリックする。

名称未設定 79‘Vietnam’で検索した結果

(2) 資料の書誌データは、緑色の「資料詳細(Detailed information)をクリックすると、「詳細レコード(Full bibliographic record)」が表示される。資料そのものの所蔵先は、「原資料(Source)」の箇所に「フランス国立図書館地図部、請求記号GE C-1234(Bibliothèque nationale de France, département Cartes et plans, GE C-1234)」といった形式で示される。

名称未設定 80画面右上の‘Detailed information’をクリックすると、画面左側のウィンドウが表示される。ここに記されているのが書誌情報。

 

3. ダウンロード / 印刷

(1) ダウンロード / 印刷には、資料閲覧窓の「ダウンロード / 印刷(Download / Print)をクリックする。フォーマット(PDF, JPEG, txt)を選択し、使用許諾を行う。使用条件conditions of use をクリックすると、フランス語版の「Gallicaコンテンツの使用条件(Conditions d’utilisation des contenus de Gallica)」が現れる。英語版(Conditions for the use of Gallica’s contents)はフランス語のこのページの下部からリンクが張られている。

(2) ダウンロード / 印刷は、とくに全頁が可能なものも多い。執筆者の経験では、多くのフランス領インドシナ政庁や各邦の出版物(年鑑類・定期刊行物等)は全頁のダウンロード / 印刷が可能であり、非常に便利である。一方、地図資料に関しては、閲覧の段階では鮮明な画像が提供されるが、ダウンロード / 印刷の段階では画質が大幅に制限される。資料の性質によっては(どんなに古いものであっても) “Gallica”では電子展示ないし資料検索といった機能のみが提供され、その場合ダウンロード / 印刷に関しては“Gallica”を窓口にフランス国立図書館等に複写申請を行う必要がある。

*2019年4月18日追記:本コラムの最終更新は2017年12月1日である。本コラムをもとに、2019年2月時点の情報についてを大幅に加筆した記事は『世界の図書館から―アジア研究のための図書館・公文書館ガイド』(勉誠出版、ライブラリーぶっくす、2019年、ISBN978-4-585-20069-7)に収録されている。