北京の潘家園は、中国でも最大級の骨董市場である。ここには陶磁器、書画、硯、民俗衣裳など様々な品物が売られていて、土産物をさがしにきている外国人も多い。日本のガイドブックにも掲載されているので、実際に足を運ばれた方も多いだろう。
この潘家園には古書販売のコーナーももうけられており、多くの古書店がずらりと軒をつらね、学術書から一般書まで様々な本が売りに出されている。清代に出版された漢籍もあれば、土地の契約文書もあり、日本の小説や漫画まである。何も買わないでも眺めているだけで楽しい。
面白いのは束になって売られている文書の類いで、玉石混淆なのであるが、中には数十年前に就職活動に使われたとおぼしき個人の履歴書や、学校の成績証明書のようなものまで混じっている。
骨董市場と聞けば、何か高価な掘り出し物を探したくなるのが人情である。古書の中にも高価なものは勿論ある。しかしゆっくり散歩しながら、あまり欲を出さずに古書や文書類を眺めるというのも、潘家園の楽しみ方の一つではないだろうか。