このたび、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センター(CRCC)から、「中国・アジア研究論文データベース」がリリースされました。
JSTでは、総合電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」を運営しており、アジア研究者にも多く利用されていることと思います。
新たに登場した「中国・アジア研究論文データベース」は、中国・アジア地域に関連する学術誌に特化されており、J-STAGEよりも簡便な造りとなっています。
当面収録を予定している学術誌は、『中国女性史研究』、『中国経済研究』、『中国経済管理研究』、『日中社会学研究』、『満族史研究』、『満族史研究通信』、『三国志研究』のようです。すでに一部の論文がPDFで公開されています。
今後収録される学術誌が増え、コンテンツが充実してゆくことが望まれるのはもちろんのことですが、すでにJ-STAGEに参加している中国・アジア関連学術誌も少なくなく、それらも「中国・アジア研究論文データベース」からアクセス可能になるよう、今後調整が図られることと思います。
また、J-STAGEには一部有料コンテンツもあり、クレジットカード決済で購入することができますが、「中国・アジア研究論文データベース」にも「カート」というネットショッピングでおなじみのアイコンがあり、将来的には有料コンテンツにも対応できるシステムのようです。
日本におけるアジア研究は、世界に伍するに足る質を十分に備えていますが、いかんせん世界に向けた発信力に弱点があります。より多くの中国・アジア関連学協会が「中国・アジア研究論文データベース」に参加すれば、世界の研究者に利便を提供するばかりでなく、日本のアジア研究の世界におけるプレゼンスを国内に向けてアピールすることもできるのではないでしょうか。
アジア研究者の一人として、今後も「中国・アジア研究論文データベース」の展開に注目してゆきたいと思います。
U-PARL特任研究員 成田健太郎