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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

COLUMN

【世界の図書館から】サラエボ東洋学研究所

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サラエボ東洋学研究所
Orijentalni institut u Sarajevu/The Institute for Oriental Studies in Sarajevo
(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)

佐治 奈通子

東京大学人文社会系研究科アジア文化研究専攻博士課程/イスタンブル文明大学歴史学科客員研究員

 

図書館概要

1950年設立、かつてガーズィ・フスレヴ・ベグ図書館に次いで、バルカン最大級の蔵書数を誇るボスニアの東洋研究の中心的施設であったが、1992年、内戦の中でほとんどの蔵書が焼失してしまった。爆撃を受けた際に偶然にも利用者が自宅に持ち帰っていた資料が数点現存しているとのことであるが、現在の所蔵資料の大部分は、内戦後にトルコ共和国イスタンブルの首相府オスマン文書館(Başbakankık Osmanlı Arşivi)などから、ボスニア関連の資料のコピーを再収集したものである。とはいえ、依然ボスニアの東洋学の中心であることは変わりなく、この地域の研究を志す者が情報収集のために訪れることには十分な意義があると思われる。

サラエボ

入口概観。壁面の銃痕修復跡が、内戦の悲惨さを物語っている。

資料概要

前述のように、内戦時に所蔵資料の大半は焼失していまい、現在は外部から再収集した複写資料と雑誌が主な蔵書となっている。内戦以前の所蔵資料については、アラビア語、オスマン語、ペルシア語、ボスニア語などの写本5263点、シャリーア法廷台帳60点、文書史料20万点以上、出版物1万5000点となっており、このような素晴らしいコレクションが一夜のうちに失われてしまったことが残念でならない。

カタログ

3点の写本カタログが出版されている。うち2点は内戦以前に編纂されたものである(1997年のカタログは、出版自体は戦後となってしまったが、準備は内戦以前になされていた)。最初の2冊に記載されているもののほとんどは焼失しており、また2009年版に記載されたもののほとんどは外部からの複写資料であることに留意が必要である。

Trako S. (1986) Katalog Perzijskih Rukopisa: Orijentalnog Instituta u Sarajevu, Srajevo.

Trako S. & Gazić L. (1997) Katalog: Rukoposa Orijentalnog Instituta -Lijepa Književnost-, Sarajevo.

Gazić L. (2009) Katalog: Arapskih, Turskih, Perzijeskih i Bosanskih Rukopisa, London-Sarajevo.

参考文献

Ljubović A. & Gazić L. (ed.) (2000) Orijentalni Institut u Sarajevu, 1950.-2000., Sarajevo.

 

アクセス

所在地は、Zmaja od Bosne 8b, 71000 Sarajevo, Bosna i Hercegovina。旧市街から「イリジャIlidža」方面行きのトラムバイに乗り、ホリデイイン(Holiday in Sarajevo)かアメリカ大使館前の駅で下車。アメリカ大使館西側に位置するサラエボ大学構内にある。

基本情報

図書館ウェブサイト:www.ois.unsa.ba

入館・閲覧に必要なもの:パスポートや認可証の提出は必要ない。資料の貸出しは不可。

開館日時:月〜金 9:00–11:00、休館日:土日、祝日

電話/Fax:387-33-225-353

E-mail:ois@bih.net.ba