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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

COLUMN

【世界の図書館から】ソウル大学校中央図書館(韓国)

ソウル大中央図書館 - コピー

ソウル大学校中央図書館(韓国)

小宮秀陵

啓明大学校招聘助教授

 

■概要

ソウル大学校中央図書館は、韓国内の大学図書館のうち、最大の蔵書を備えた図書館です。470万冊以上の単行本、10万種類にものぼる学術誌と電子ジャーナル、そして20万冊以上の非図書資料を所蔵しています。1946年ソウル大学校の開校とともに「ソウル大学校付属図書館」として発足し、1992年に中央図書館へと名称を変更しました。現在は本館・冠廷館と8つの分館で構成されています。本館は資料中心のサービス空間、冠廷館は最先端施設を備えた空間となっており、利用者の多様なニーズに対応できるよう工夫されています。 また、分館は各学部の名称を冠しており、蔵書も各学部の専門分野に関する書籍が中心となっています。

■ソウル大学中央図書館の歴史

1946年10月:ソウル大学校開校とともにソウル大学校付属図書館として発足。
1952年6月:朝鮮戦争によって釜山へ避難。80坪程度の臨時図書館を開館。
1953年12月:ソウルへ戻り開館。
1966年2月:農学図書館、医学図書館設置。
1975年2月:ソウル大学校図書館へ改称。ソウル大学校総合化計画によって冠岳キャンパスへ移転。
1983年12月:法学図書館設置。
1992年3月:ソウル大学校中央図書館へと改称。
1993年12月:経営学図書館設置。
1995年2月:社会科学図書館、歯医学図書館設置。
2006年4月:国際学図書館設置。
2015年2月:冠廷館開館。
2015年4月:獣医学図書館設置。

■資料室の紹介(本館・冠廷館)

[本館]

単行本資料室(3階・4階):テーマ別に分かれた七つの資料室に、約104万冊の図書と新聞資料、国内外の学位論文を所蔵しています。

参考資料室(2階):指定図書、事典類、年鑑、統計などの参考資料、地図、楽譜などを所蔵しています。

逐次刊行物室(2階):国内外の学術雑誌、時事・教養雑誌、企業の広報用の資料などを所蔵しています。

古文献資料室(4階):1945年以前に発刊された寄贈図書、古書などを所蔵しています。

ソウル大中央図書館 - コピー

本館

 

[冠廷館]

マルチメディアプラザ(冠廷館):映像および音楽資料などのマルチメディア資料を所蔵しています。

冠廷館7A閲覧室所蔵資料:人気図書や教養図書、学内で出版された図書などをテーマ別に所蔵しています

冠廷館8A閲覧室所蔵資料:基礎学問基盤育成のために学部課程に必要な教養と、多様な学問分野の基礎教養教育資料などを所蔵しています。

冠廷館 - コピー

冠廷館

 

■分館について

分館とは学部名を冠しており、学部に特化した専門書を中心に扱っている八つの図書館をいいます。ソウル大学校開校当時から続く、農学図書館、 法学図書館、 医学図書館、 歯医学図書館と、90年代以降に開館した、社会科学図書館、 経営学図書館、 国際学図書館、 獣医学図書館にわかれます。表を見てもわかるように、前者の蔵書量が圧倒的といえます。特に、医学図書館は、韓国の医学研究の拠点となっており、ここで韓国内の医療・保健専門家に対して医学情報検索サービスを行っています。なお、歯医学図書館が1946年に設立されたにもかかわらず、蔵書量が他の図書館に比べて少ないのは、1975年から、1991年にかけて、医学図書館などと合併した影響があるからかもしれません。

分館の特徴は、寄付を通じて設立していった図書館が多いことです。 社会科学図書館は、エスクァイア(製靴会社)の名誉会長であった李寅杓(1922~2002)、経営学図書館は、産業銀行の総裁などを歴任した李珌奭(1914~2000)、法学図書館は、国会議員を務めソウルオリンピックの開催も手がけた金澤壽(1926~1983)が、各々設立に尽力しています。ほかにも獣医学図書館は、韓国製粉株式会社の支援を得て、ANF電子図書館として発足しています。

このように個人・企業の寄付や支援によって設立されたため、図書館名に支援者の雅号を残すものもあります。経営学図書館では、李珌奭の雅号である丹菴にちなんで「丹菴経営学図書館」を正式名称としています。法学図書館も金澤壽の雅号菊山を採用しており、正式名称は「菊山法学図書館」 です。

さらに個人の支援は近年も続いています。2009年には、SBS名誉会長である尹世榮の後援で瑞巖法学館が建てられ菊山法学図書館と連結し、図書館がリニューアルしました。このように個人の支援による図書館の設立・拡充が行われている背景には、卒業生と学部との強いつながりがあります。実際、上記支援者のすべてが各々分館に冠された学部に所属していました。社会に出て成功した彼らは、自分の学び舎であった学部の図書館を支援したのです。韓国社会では政界・財界に占めるソウル大学出身者の割合がとても多いといわれていますので、今後も同窓生による分館への支援をつうじて、それぞれの専門分野に特化した図書館が一層充実していくものと思われます。

分館の蔵書量(『서울대학교 중앙도서관 안내』より)

分館名 設立時期 蔵書量 備考
単行本(冊数) 学術雑誌(種類)
社会科学図書館 1995年 91,000余 157
経営学図書館 1991年 62,000余 168
農学図書館 1946年 160,000余 200余 当初は農科大学図書館として開館。2003年に水原キャンパスから、冠岳キャンパスへ移転。
法学図書館 1946年 157,000余 465 当初は法科大学図書室として開室。法学図書館の建設は1982年。
医学図書館 1946年 210,000余 15000余 (電子ジャーナル・データベース・電子書籍)
歯医学図書館 1946年 30,000余 398
国際学図書館 1997年 56,000余 230
獣医学図書館 2003年 17,300余 479 (電子ジャーナルも含む)

 ■中央図書館の利用方法

[利用方法]

一般の方は本館の2階入り口でパスポートなど、身分証を提示すると、一日入館証を発給してもらえます。ただし、学内のデータベース(情報検索室)は利用できません。また、一般の方は基本的に冠廷館に入館できません。分館は各館によって対応が異なりますので、一度問い合わせてから行くのがよいと思います。

[利用時間]

本館・冠廷館

区分 利用時間 問い合わせ
月~金 土・公休日
本館 単行本資料室 09:00~21:00 09:00~17:00 13:00~17:00 +82-(0)2-880-8001
逐次刊行物室
参考資料室
情報検索室
中央貸出室
その他の資料室 09:00~18:00
冠廷館 マルチメディアプラザ 09:00~21:00 09:00~17:00
情報検索室 09:00~21:00
閲覧室 09:00~21:00

分館

分館名 資料室
月~金 土・日および公休日
社会科学図書館 09:00~18:00
経営学図書館 09:00~20:00
農学図書館 09:00~19:00 09:00~13:00(学期中)
法学図書館 09:00~18:00    09:00~21:00(水) 09:00~13:00(土)
医学図書館 09:00~18:00 09:00~13:00(土)
歯医学図書館 09:00~18:00 09:00~13:00
国際学図書館 09:00~18:00
獣医学図書館 09:00~18:00

 

アクセス

住所:

Seoul National University Library, 1 Gwanak-ro, Gwanak-gu, Seoul 08826, Korea

E-mail: libhelp@snu.ac.kr

TEL:+82-(0)2-880-8001

図書館ウェブサイト

http://library.snu.ac.kr/

 

参考資料

ソウル大学校中央図書館『서울대학교 중앙도서관 안내』(ガイド資料)