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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

COLUMN

「U-PARLセレクション」

English

(画像をクリックすると「U-PARLセレクション」に入れます)

東京大学では帝国大学の時代よりアジアに関わる研究が活発に行われており、関連資料のコレクションは国内最大級といえる。U-PARLでは、2014年の設立当初よりアジア関連資料の適切なデジタル化と公開をとくに重視しており、アジア各地域の専門家である研究スタッフが本学所蔵資料の中からデジタル化にふさわしい資料を選定し、加えて古書市場などから研究価値が高いと判断される貴重資料の購入を積極的に行ってきた。メタデータの付与等、学界に便益をもたらすべく公開の方法についても検討を重ね、各種権利の関係上問題ないと判断された資料について、2017年5月には東京大学総合図書館所蔵の7資料にU-PARL購入の4資料あわせて11資料のデジタル画像総計1885点をウェブ上に公開した。これを引き継いだものが2019年に運用が開始された「アジア研究図書館デジタルコレクション」である。 

 「アジア研究図書館デジタルコレクション」のうち、「碑帖拓本コレクション」、「水滸伝コレクション」、「エジプト学研究のためのデジタル資源」がU-PARLの研究スタッフの専門性に依拠したコレクションであるのに対し、「U-PARLセレクション」では、アジア研究関連資料の多様性を重視して貴重資料の選定を行い、研究資料として広く研究者に利活用されることに重点を置いている。「U-PARLセレクション」には、南宋刊本『元氏長慶集』(青洲文庫)、元刊本『古今歴代十八史略』(南葵文庫)の総合図書館所蔵貴重書、『論語諺解』(総合図書館所蔵)、『北路紀略』(アジア研究図書館所蔵)等の朝鮮本、『八旗氏族通譜』(総合図書館所蔵)の満文資料の他、『論語集解』(青洲文庫)、『纂図附音増広古注千字文』(南葵文庫)等の日本で書写された漢籍、『増広竜龕手鑑』(南葵文庫)、『医方大成論』(鶚軒文庫)等の日本古活字本の漢籍が含まれ、今後もコンテンツの追加とコレクションの拡充を予定している。 

U-PARL特任研究員 中尾道子

*この記事は2024年2月29日刊行の『東京大学アジア研究図書館デジタルコレクション2017–2023』(U-PARL編、2024年)p.48からの再録です。

March 18, 2024