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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

COLUMN

【世界の図書館から】 クメール研究センター附属研究図書館(カンボジア)

クメール研究センター附属研究図書館
Center for Khmer Studies Research Library / បណ្ណាល័យមជ្ឈមណ្ឌលខេមរសិក្សា  

東京大学大学院博士課程
新谷春乃

◎来歴・所蔵資料
クメール研究センター附属研究図書館は、シェムリアップ市内中心のドムナック寺院内にあるクメール研究センターに併設された研究者向けの図書館である。研究図書館の他に、一般に開放されている図書館もある。そちらは1990年代以降に発行されたクメール語書籍や英語書籍を中心に所蔵しており、近隣の学生や市民が本を読み、勉強する場となっている。一方、研究図書館は、1960年代~1990年代以前に発行されたクメール語、フランス語、英語の雑誌・新聞・書籍、貴重資料(地図、フランス植民地時代に発行されたインドシナ関係書籍・雑誌)、カンボジア地域研究関係書籍等が所蔵されており、まさに研究者向けの施設である。お寺の正門から入ってすぐ目に入るのが一般向けの図書館で、その奥にクメール研究センターの事務所と研究図書館がある。

クメール研究センター附属図書館は2001年に開設され、研究図書館は2010年に開設された。研究図書館はノロドム国王の支援を受けて開設され、前述の諸資料の保存を目的としている。母体となるクメール研究センターは1998年に設立された民間の研究センターで、欧米やカンボジア国内の大学・研究機関と協力関係を持ち、カンボジアとメコン地域の研究促進や若手研究者の育成を目的としている。クメール研究センターではカンボジア地域研究に関する「Lecture series」や「Workshop」等を開催しているため、訪問時期が重なった場合に事前連絡の上、参加することもできる。レクチャーやワークショップ開催の情報は下記のクメール研究センターのホームページを参照してほしい。

一般向け図書館正面

◎使用方法
一般向けの図書館は、開館時間内であれば予約なしで誰でも使用できるが、研究図書館は、利用者がいない場合は鍵がかかっているため、サブジェクト・ライブラリアンに事前に連絡の上、訪問した方がよい。事前の連絡がうまくできなかった場合、クメール研究センターへ直接向かい、使用可能か尋ねることもできるが、限られた調査日程で訪問する場合、これはおすすめしない。閲覧希望資料は事前に下記のオンラインカタログで確認することができる。基本的には開架であるが、一部貴重書は研究図書館内に閉架で保管されているため、それらの資料の閲覧を希望する場合は、サブジェクト・ライブラリアンに申し出る。

研究図書館の利用に際して、利用料はかからないが、利用前に氏名と所属を登録する。目当ての資料が見つかり、閲覧を希望する場合は、研究図書館のはす向かいの閲覧室で閲覧する。資料複写が必要な場合は、サブジェクト・ライブラリアンに申し出る。長期休暇時には、欧米の大学からカンボジア研究を志す修士課程・博士課程の学生が研修で滞在していることもある。その場合、閲覧室は混み合うが、通常は研究図書館の利用者は少なく、ゆったりと資料閲覧ができる。

研究図書館入り口

◎デジタル資料
現在所蔵資料のデジタル化を進めているものの、まだ一般公開されていない。

◎サブジェクト・ライブラリアン
現在2名のカンボジア人サブジェクト・ライブラリアンがおり、開館時は少なくともどちらか1名が常駐している。研究図書館横の執務室にいることが多いが、場合によっては一般向けの図書館で貸出業務していることもあり、執務室にいなかった場合は図書館に行ってみると良い。2名とも英語が堪能であるため、クメール語を解さない調査者も安心である。サブジェクト・ライブラリアンの一人は、米国のウィスコンシン大学とコーネル大学で図書館学を学んだ経歴を持つ。

◎目録
目録はオンライン上でも確認でき、アルファベットとクメール語で検索が可能である。
クメール研究センターのウェブサイト(https://www.khmerstudies.org/)からPublication and Outreachをクリックし、Digital Libraryへ進むと、クメール研究センターのOPAC(http://ckslibrary.khmerstudies.org:8080/newgenlibctxt/)がつながる。もし検索して見つからない場合でもあきらめることはない。現在、すべての図書資料がOPACから検索できるわけではなく、特に研究図書館はその傾向が強い。そのため、探している資料がOPACで見つからない場合、ライブラリアンへ問い合わせることをおすすめする(library@khmerstudies.org)。

◎食事処
クメール研究センターはシェムリアップの中心地に位置しているために、食事処は多様にある。特にオールド・マーケット周辺には多種多様な飲食店があり、選ぶのが困るくらいである。研究センターの周りにもクメール料理を専門にした食堂が軒を連ねており、手軽に食事を済ませることもできる。

クメール研究センター外観

図書館ウェブサイト
https://www.khmerstudies.org/(英語)

住所
Wat Damnak, Siem Reap, Cambodia

電話
+855-63-964-385

アクセス
クメール研究センターはシェムリアップ市内の中心地であるオールド・マーケットからシェムリアップ川を渡り目の前にあるドムナック寺院内に位置しているため、オールド・マーケット周辺まで行ってから徒歩で向かうこともできる。徒歩でなくても、ルモー(三輪バイク)の運転手に「ワット・ドムナック(クメール語で「ドムナック寺院」)」と伝えれば連れて行ってもらえる。

開館日時
月曜~土曜日 8:00~12:00、13:30~17:30
日曜・祝日休み

入館・閲覧に必要なもの
特にないが、入館時に氏名・所属を利用者リストに登録する。