【世界の図書館から】ドゥブロヴニク国立文書館(クロアチア)

 

佐治奈通子
東京大学大学院人文社会系研究科アジア史専門分野博士課程

世界遺産の街ドゥブロヴニクの旧市街に位置するスポンザ宮殿に、国立文書館が存在する。『中世都市ドゥブロヴニク』を著したクレキッチは、日本語版への序文においてこの文書館について次のように述べている;「ドゥブロヴニクに格別の興味をかきたてるもの、またその過去をきわめて詳細に知らせてくれるものは、市内に保存されている素晴らしい古文書である。ドゥブロヴニク歴史古文書館がヨーロッパで最も大部の、最も多様な史料集の一つを所蔵していることは確かで、時代的にも11世紀から今日にまで及ぶ。1920年、世界中の学界に役立たせるべく、古文書館は近代的な機関として組織された。(中略)ドゥブロヴニクは幸運にも、過去から受け継いできた記録類の富を、20世紀の二度にわたる世界大戦にも保存しおおせた。ユーゴスラヴィアや外国の学者が多数、ドゥブロヴニク歴史古文書館で絶えず研究をしている(クレキッチ 1990:3-6)。」ドゥブロヴニクという、地中海世界とバルカン諸国との間にあった魅力的な中世都市の記録は、広く世界中の研究者に開放されている。

資料概要
11世紀以来の貴重な史料を保存しており、1022年の文書が最も古い。その多くはラテン語で書かれているが、イタリア語、クロアチア語、オスマン語の文書も多数存在している。オスマン語文書は15,000点以上所蔵されている(Državni arhiv u Dubrovnik 2011:9)。同館のコレクションは3つの部門から成り立っている。ドゥブロヴニク共和国の記録(1808年まで)、フランス占領時代の記録(1808-1814年まで)、およびその後の記録である(クレキッチ 1990:3)。

カタログ
写本・文書史料
紙カタログが存在している。閲覧室でのみ利用可能。クロアチア語。デジタルカタログも準備が進められているとのことだが、もう少し時間が必要そうだ。

オスマン文書が収められている史料群”Serija 75: Acta Turcarum”に関しては、十分カタログ整備がなされておらず、この史料群のカタログを見たいと言うと、カタログ編纂の過程で用意されたと思われる複数の研究者による下書きを見ることができた。下書きの多くは手書きのクロアチア語なので、クロアチア語に精通していないと読み解くのは非常に困難であると思われる。ただ、それぞれ年代と文書の種類ごとに分類されているので、それを手掛かりに欲しい史料を見つけることが可能かもしれない。とはいえ、利用者はあらかじめ研究書や論文で、閲覧したい文書の番号を確定させ、クロアチア語を勉強してから来ることを強くお勧めする。
2002年、この史料群の分類・カタログ化のプロジェクトが開始され、現在、フェルマーン2200点、ボスニア州とヘルツェゴヴィナ県のブユルルドゥ321点についてはカタログが出版されている。今後も継続的に作業が行われる見込みである。
Miović, V. (2005) Dubrovačka Republika u Spisima Osmanskih Sultana: s analitičkim inventarom sultanskih spisa serije Acta TuTurcarum Državnog arhiva u Dubrovniku, Dubrovnik.
Miović, V. (2008) Dubrovačka Republika u Spisima Namjesnika Bosanskog Ejaleta i Hercegovačkog Sandžaka: a analitičkim inventarom bujuruldija (1643-1807) serije Acta Turcarum Državnog arhiva u Dubrovniku, Dubrovnik.

出版物
カタログは存在しない。所蔵図書の書誌情報は、図書カードに記され、それらの図書カードは閲覧室の引き出しに納められている。カードはアルファベット順に並んでいるが、著者名で採られている場合と、書名で採られている場合があるので注意。

インターネット
Wifi完備

参考資料
Državni arhiv u Dubrovnik (2011) Iyložba Najranija Subrovačka Stoljeća: Replike restauriranih isprava iy fundusa Dubrovaćkog arhiva do godine 1200, Dubrovnik.
バリシァ・クレキッチ、 田中一生(訳)中世都市ドゥブロヴニク:アドリア海の東西交易、彩流社、1990年.

基礎情報 ドゥブロヴニク国立文書館(Državni arhiv u Dubrovnik/The State Archives in Dubrovnik)(クロアチア)

図書館ウェブサイトURL:
http://www.dad.hr/

アクセス:(所在地:Sv. Dominika 1, 20000 Dubrovnik)
旧市街プリイェコ(Prijeko)通りの突き当りにある、スポンザ宮殿2階に文書館がある。

図書館の入館・閲覧に必要なもの:
<入館・閲覧室利用>
パスポートや許可証の提出は必要なく、直接現地で利用申請書を記入する。
<資料請求>
資料を請求・閲覧する際にはまた別の請求フォームをその場で記入する。

開館日時:
平日 8:15-15:00
土曜 8:15-13:30(土曜日は書庫が閉まるので資料請求できない。請求を金曜日までに済ませておくと取り置きをしてくれるので、土曜日に閲覧可能。)
休館日
日曜日、祝祭日とその前日

電話/Fax:
020-321-031, 321-032/020-321-060, 321-190

E-mail:
dad@dad.hr

(2018年10月17日掲載)