U-PARL特任研究員
辻 大和
2016年6月にカナダ、バンクーバー所在のブリティッシュコロンビア大学(The University of British Columbia、以下UBC)において開催されたワークショップ 2016 UBC One Asia Project Conference: “Korea-China Relations in 1350-1900” に、同大学アジア学科Department of Asian StudiesのNam-lin Hur(許南麟)教授のご尽力により木村拓氏(当時、U-PARL特任研究員、現、鹿児島国際大学准教授)、鈴木開氏(当時、日本学術振興会特別研究員、現、人文社会系研究科助教)ととともに私(辻)を招いてくださる機会がありました。会議の合間をぬってUBCのアジア研究関係施設を見学しました。
バンクーバーはアジア系移民が多く、UBCはアジア関係の研究が盛んにおこなわれている大学です。バンクーバーまでは成田から飛行機への直行便で9時間程度ですので、東アジアからのアクセスが大変便利です。UBCではアジア研究を進めていくのに示唆を多く得ましたので、1年遅れではありますがご紹介したいと思います。
Asian Libraryは周辺に新渡戸記念庭園、茶室が広がる環境のなかにある独特な建築Asian Centreに入っています。Asian Centreの建物は実は大阪万博の三洋館を移築したものであるとのことです(下記写真)。
アジア図書館のサイトおよび日本担当司書の加藤直子博士の話によると
蔵書数:64万7000冊(2015年6月現在)
言語:中国語、日本語、韓国語、ペルシャ語、南アジア諸語、東南アジア諸語
専門ライブラリアン:6名
沿革:
●1948-49年 Ho Ping-ti〔何炳棣、中国社会史の研究者。科挙の研究で著名〕教授により“Modern Chinese History since 1644”というコースが開講される。
●1959年 Puban〔蒲板〕Collectionを受け入れる。日本政府刊行物の指定受入図書館としてAsian Library が企画される。
●1981年 現アジアセンター内にアジア図書館が開館するようです。
西洋語のアジア研究図書や、一部の特別コレクションはWalter C. Koerner Libraryやほかの図書館にあるとのこと。
フロアは
1階がレファレンスブック
2階が中国語、日本語、朝鮮語(いわゆるCJK)の単行本
地下が各言語の雑誌とペルシャ語、南アジア諸語(パンジャービー、ウルドゥー、ヒンディー、サンスクリット)、チベット、東南アジア諸語図書(ベトナム、インドネシア)
に配置されています。中国語、日本語、朝鮮語の図書については言語別ではなく、主題別に排架しています。
1階では試しに朝鮮関係のレファレンスブックを見てみましたが、語学については韓国、北朝鮮、日本で出た朝鮮語辞典は網羅されており、歴史についても韓国や日本で出た主要な論著目録が配架されていました。
2階については東アジア学の基本史料として四庫全書影印版はもちろんのこと、四庫全書存目叢書、四部叢刊など大変充実したコレクションでした。東アジアからの研究者の往来が多く、長期滞在して研究を進めるにはうってつけの環境に思います。
地下では日本や韓国の主要な学術誌はほとんどあるように思いました。日本を代表する東洋学研究機関である東洋文庫の『東洋学報』と、東京大学東洋文化研究所の紀要などももちろん並んでいました。
アジアセンター周辺にはDepartment of Asian StudiesとInstitute of Asian Research があり、アジア研究、教育関係組織が集約されているようです。Institute of Asian Researchは、雑誌Pacific Affairsの発行をThe Institute of Pacific Relations(IPR、太平洋問題調査会)から引き継いだ研究所として著名ですが、東京大学東洋文化研究所と同様に獅子を玄関に置いているのが興味を引きました(写真)
Walter C. Koerner Library
西洋語で書かれた図書が収蔵されています。アジア史関係のコーナーを見学させていただきました(下記写真)。
Asian Libraryの利用方法
公式サイトをご参照ください
http://asian.library.ubc.ca/