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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

EVENT

アジアンライブラリーカフェNo.9「パンダを語ることば」

アジアンライブラリーカフェの第9弾を開催します。

「アジアンライブラリーカフェ」はU-PARLが2017年から不定期に行っているトークイベントです。「学術的な話題を、堅苦しくなりすぎず、喫茶店でのおしゃべりのように気楽にわかりやすく伝えたい」という願いから命名しました。
実際にはお飲み物のご提供はございませんが、「カフェにいるかのような肩の力を抜いた気分」でご参加いただければ幸いです。

※誠に申し訳ございませんが、会場および建物内では、蓋つきのペットボトルや水筒などの密閉可能な容器に入れたお飲み物を除き、飲食禁止です。


ASIAN LIBRARY CAFÉ: 009

パンダを語ることば

荒木達雄 インターネットのことば~中国語短文投稿サイト「微博」から
森沢ひより よそ者から「国民の孫娘」になった韓国の”우리 푸바오(ウリ福宝)”
家永真幸 台湾のパンダの特殊な立場
𠮷岡桂子 西へ南へ、パンダは向かう 砂漠の親米国カタールから考える
  (タイトルは変更になる場合があります)

 

2024年7月24日(木)14時開始

会場:東京大学本郷キャンパス(オンライン配信)

どなたでも出席・視聴可、費用徴収なし

会場参加は定員上限25名、事前登録制、先着順です。
会場のご案内は、受付完了後、7月23日(水)までにお送りします

会場および建物内では、蓋つきのペットボトルや水筒などの密閉可能な容器に入れたお飲み物を除き、飲食禁止です☆
☆会場および建物内では、録画、録音、撮影は禁止です☆
※スタッフによる記録用の撮影はございます。
☆配信があるため、座席の位置によっては配信画面に映り込んでしまう可能性がございます☆
☆会場付近には駐車場が少ないため、学外の方は公共交通機関でのご来場をおすすめしております☆
あらかじめご了承ください

オンライン配信も事前の視聴登録が必要です。

事前登録締切は7月23日(水)12:00
ただし、会場参加は定員に達し次第締め切ります

☆会場参加、オンライン視聴ともに締切以降のご対応はいたしかねます☆

会場参加・配信視聴の登録はこちら>>>>>https://u-panda2.peatix.com<<<<<

外部サイト(peatix)に遷移します。登録にはpeatixのアカウント作成が必要です。

本イベントに関するお問い合わせはこちら (U-PARLお問い合わせフォーム。)

【お問い合わせの際は「題名」に「7月アジアンライブラリーカフェについて」と明記してください】

<開催趣旨>

 2023年に開催したアジアンライブラリーカフェ“「パンダはかわいい!」は常に真実なのか?~文献で見る「パンダ観」の歴史”では、古代から近代までヒトがパンダをどのように見ていたのかを文献資料で追った。現在では「パンダはかわいい」ということばは――個人的にそうは思わない人も含めて――ごく自然に受け入れられている。しかし、前近代、近代の文献を見る限りではパンダを「かわいい」と記録するものは皆無と言ってよかった。「パンダはかわいい」は、人間側の都合や諸環境の変化によって近現代に至ってようやく成立した「常識」であったと言ってよい。

 実験心理学の研究においても、「かわいい」とは対象物が有する属性ではなく、対象物に接したときに受け手側の中に生じる感情であると考えられている。つまり、同じものに接しても「かわいい」と感じるかどうかはさまざまな要因によって左右される。われわれ日本人は、ほぼ同質の情報・環境・文化などの諸条件下でパンダに接しているために同じ「かわいい」という感情を生じさせる確率が高いのにすぎない。

 中国はパンダに外交の一手段としての意味を持たせる、いわゆる「パンダ外交」を行っていると言われる。そのパンダを貸与された側の人々はパンダをどう思っているのだろうか?かつてパンダを貸与された、現在パンダを貸与されている国・地域はそれぞれに文化も、歴史も、地理的環境も、政体も、政治的位置もさまざまである。パンダに対する感じ方もそれぞれに異なっていておかしくない。また、それぞれの国・地域には言語の違いもあり、パンダを語る際の「ことば」や「語り口」も異なるであろう。「パンダ」をキーワードにしてアジアのさまざまな国・地域を対照してみたい。そこからアジアの多様性や、それぞれの国・地域の文化の違いが見えてくるかもしれない。

登壇者紹介

森沢ひより 西江大学(韓国)在学中 韓国Z世代のメディア、言説に通じたインフルエンサー

よそ者から「国民の孫娘」になった韓国の“우리 푸바오(ウリ福宝)”
 韓国で生まれたジャイアントパンダ「푸바오(福宝)」は、“国民の孫娘”と呼ばれるほど、特別な社会的存在となった。なぜ、よそから来た動物がここまで深く愛され、「우리 푸바오(私たちの福宝)」と親しみを込めて呼ばれるようになったのか。

 本発表では、韓国におけるパンダ受容の歴史をたどりながら、特に福宝をめぐる“かわいさ”の語られ方に注目する。YouTubeやSNSに見られる感情を乗せたコメント、カカオトークのスタンプに表れる言語遊び、飼育員との擬似家族的な物語などを手がかりに、「情(정)」やファンダム文化など、韓国社会に根差す文化的価値との関係性を読み解いていく。

   
家永真幸 東京女子大学教授  『中国パンダ外交史』著者 パンダ外交研究のエキスパート

台湾のパンダの特殊な立場
 台湾の台北市立動物園にはパンダが3頭暮らしている。メスの円円と、その子どもの円仔と円宝だ。父親の団団は残念ながら2022年に亡くなった。団団と円円は2008年に台湾にやって来た。この2頭の受け入れについて台湾社会には当初、強い反対論もあった。台湾をめぐる特殊な政治問題を背景に、台湾のパンダを国際ルール上どう扱うかは論争になりやすいためである。いざ台湾に来たパンダはすぐに人気者となった。ただし一方で、台湾社会にはパンダを「お客さん」と見なし、「自分たちの動物」は別にいると考える雰囲気も根強い。台湾のパンダを手がかりに、私たちはパンダをどう見ているのか多角的に考えたい。

   
𠮷岡桂子 朝日新聞コラムニスト・編集委員 世界各地のパンダを現地で取材。出会ったパンダは数知れず

西へ南へ、パンダは向かう 砂漠の親米国カタールから考える
 西アジアにも、ついにパンダはやって来た。カタールの首都ドーハから約50キロ。砂漠の真ん中に建てられた巨大なパンダ舎で暮らすのは、オスの京京(ジンジン)とメスの四海(スーハイ)だ。現地では、それぞれスハイル、ソラヤとアラビア語の名前で呼ばれている。天に輝く二つの星の名前から命名された。

 サッカー好きで知られる中国の習近平国家主席が、2022年にドーハで開かれたワールドカップを記念して友好のしるしに派遣した。この地域で最大級の米軍基地がある親米国に、世界最大級のパンダ舎。気温が40度を超える日も珍しくないため、一年を通して室内で飼育される。えさとなる竹も自生せず、中国から全て輸入している。
 ふるさと四川省と縁遠い環境で暮らすパンダは、人々とどのような関係を切り結んでゆくのだろうか。東南アジアも含めて報告する。

   
荒木達雄 U-PARL特任研究員 行きつけの店では「パンダさん」と呼ばれるパンダ男

インターネットのことば~中国語短文投稿サイト「微博」に見るパンダ (ショートセミナー)
 中国のパンダファンたちの言説を「微博」から収集。そこに見られるファンとパンダとの関係とは…?

20.Jun.2025