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東京大学附属図書館アジア研究図書館
上廣倫理財団寄付研究部門
Uehiro Project for the Asian Research Library

COLUMN

【世界の図書館から】漢喃研究院図書館(ベトナム)

世界1

漢喃研究院図書館(ベトナム)

平塚順良

大阪大谷大学 非常勤講師

 

ベトナムはハノイに位置する漢喃研究院図書館は、漢字文献と喃字文献を専門に所蔵する図書館である。図書目録は、台湾から出版されており、『越南漢喃文献目録提要』(中央研究院中国文哲研究所・二〇〇二~二〇〇四年)によってその全容を知ることができる。また、この目録は、ウェブ上でも検索が可能である。 

世界2

漢喃研究院外観

 

中国・日本・朝鮮を一括りにして漢字文化圏と称することがあるが、ベトナムもかつて文字に漢字を使用しており、漢字文化圏に属する。そのベトナムの漢字文化を研究する上で、漢喃研究院図書館のコレクションは極めて重要な意義を有する。また中国から将来された文献も含まれるため、中国を研究する者にとっても重要である。

 

世界3

漢喃研究院内部

 

『越南漢文燕行文献集成』復旦大学出版社・二〇一五年によって、漢喃研究院図書館所蔵文献の一部が影印出版されている。しかし、影印されたのは、コレクションのほんの一部に過ぎず、その他多くのベトナムあるいは中国の歴史・思想・文学を考察する上で貴重な文献の数々は、やはり漢喃研究院図書館に直接赴かないと、見ることができない。

研究院内にある図書館なので、一般に公開された公共図書館とは性質が異なる。図書の閲覧には、大学のしかるべき長からの紹介書を携帯して行き、漢喃研究院長の裁可を得る必要がある。研究院長がなかなかつかまらない場合もあり得る。内部に紹介者がいた方が、スムーズにことが運ぶだろう。

請求カードに必要事項を記入して出納係に手渡すと、原本を複写し製本したものを持ってきてくれる。原本の閲覧は基本的にできない。複写は可能だが、受け取るまでに一週間ほどを要する。自身での複写や、写真撮影はできない。最近複写費が上がったとの情報を仄聞したが、具体的にどれぐらい上がったのかは分からない。

ちなみに、同じくハノイにあるベトナム国家図書館は、パスポートさえあれば問題なく入れるが、漢字文献・喃字文献の量では、やはり漢喃研究院図書館に遠く及ばない。なお、ベトナム国家図書館所蔵の漢喃文献は、その一部をネット上で閲覧できる

所在地:183 Đng Tiến Đông, Đng Đa, Hà Ni

 

基礎情報

図書館ウェブサイト

http://www.hannom.org.vn/

入館・閲覧に必要なもの

大学が発行する紹介書

開館日時

平日の午前・午後