宇戸優美子
東京大学大学院総合文化研究科博士課程
チュラーロンコーン大学は1917年に設立されたタイで最も古い歴史を有する国立大学である。日本の明治維新と同様の近代化を進めたラーマ五世(チュラーロンコーン王,在位1868-1910)の業績をたたえ、後継者であるラーマ六世(ワチラーウット王,在位1910-25)によって創設された名実ともにタイを代表する総合大学である。
バンコク中心部のサイアム地区に位置する大学の敷地内には、各学部・研究所附属の図書館が合計38カ所もあるが、今回紹介するのはその中心的存在といえる中央図書館である。パヤータイ通り西側の本部キャンパス(法学部などがある方)にあるこの7階建ての中央図書館は5年ほど前に改築されたばかりということもあって、最新の設備が整っており、多くの学生が自習やグループワークに励んでいる姿を目にする。
まず入り口を入ると、カフェの隣に入館ゲートとサービスカウンターが見える。閲覧を希望していることを伝え、身分証明書(パスポートのコピーで可)と入館料20バーツを渡すと、入館カードがもらえる(氏名・所属・連絡先を書く場合もあり)。無事にゲートを通過できれば、あとは基本的に閲覧・複写などが自由に行える。
1階にあるのは、サービスカウンター、新聞雑誌閲覧コーナー、新着本コーナー、PCコーナー、そして自主学習用のスペースである。2階には学位論文の書架、研究支援サービスカウンター(資料検索の相談が可能)、グループスタディー・ルームなどが設置されている。3階はメディアルーム(真新しいMacがずらっと並んでいる)、会議室、孔子学院の資料室がある。開架式の一般書架が並んでいるのは4階以上で、4階と5階に人文学・社会科学の図書が配置され、6階には貴重書とチュラーロンコーン大学出版会コレクションのほか、「タイ情報センター」というコーナーには公的機関から寄贈されたタイに関する資料、図書が集められている。
学位論文や図書で、OPACの備考欄に“contact staff”とあるものは1階のカウンターに問い合わせると、書庫から出して持ってきてくれる。資料の検索方法や所蔵場所など、丁寧に教えてくれるため、何か困ったらカウンターに尋ねるのが一番手っ取り早い。なお複写サービスカウンターは2階にある。先にデポジット100バーツを払い、受取証をもらって複写完了まで待つ。混み具合にもよるが、学位論文1冊(約200頁)の複写でおよそ30〜40分ほどである。複写が済むまで1階のカフェでリラックスというのも悪くない。
図書館に着いてからPCで資料検索することも可能だが、複写の時間も考慮すると、できれば事前にOPAC(https://library.car.chula.ac.th)で検索し、請求番号をメモしていくのが効率的で良いだろう。その際、所蔵が中央図書館か、各学部附属の図書館なのかをしっかり確認する必要がある。また、現在貴重資料のデジタル化や論文資料のデータベース化が進められている。例えば、CUIR(The Chulalongkorn University Intellectual Repository http://cuir.car.chula.ac.th)では、チュラーロンコーン大学に提出された学位論文を検索、ダウンロードすることができる。こちらもぜひ利用したい。
アクセス
チュラーロンコーン大学には、サイアムスクエアから徒歩で行くことも可能だが、無料のシャトルバスを利用するのがおすすめだ。BTSサイアム駅の一番西側出口(サイアムスクエア・ソイ3のあたり)を降りて、リドー映画館の前、セブンイレブンの少し手前のところに、制服を着たチュラーロンコーン大学の学生が大体いつも数名立っている。そこでしばらく一緒に待つと、ピンクの小さめのバスがやってくる。4番のバスに乗るとパヤータイ通りから西側キャンパスに入っていくので、そのまま中央図書館へ行くことができる。このバスはその後東側キャンパス(文学部などがある方)を回って再びサイアムに戻るため、帰りもこれで駅まで戻ることができる(1番バスは東側キャンパスとサイアム間を回る)。
所在地 Office of Academic Resources, Chulalongkorn University, Phyathai Rd, Pathumwan, Bangkok, 10330 Thailand
図書館ウェブサイト http://www.car.chula.ac.th
電話 662-218-2929
入館・閲覧に必要なもの パスポートのコピー(場合によっては原本)、入館料20バーツ
開館日時 月〜金8:00〜21:00 土9:00〜16:00 (日・祝は休館)
(なお中間試験、期末試験中は月〜金の7:00〜24:00まで開館している)